一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「私こそ申し訳ありません。真翔さんは悪くないんです。私が勝手にしたことなんです」
今度は私が頭を下げると、真翔さんがそれを制した。
「本当に咲綾には苦労を掛けた。知らなかったとはいえ今まで一人で真由を産んで育ててくれた。だからこそこれからは三人で幸せになりたい。そう思ってる」
真翔さんの真剣な瞳に、お父様は真翔さんをジッと見つめた。
「咲綾さん、うちの事情を知っているだろうし、私がこんなことを言っても説得力がないかもしれないが、息子のしでかしたこと許してくれるかな?」
意外なセリフに、私はポカンとしてしまう。
「許すも何も、私のような普通の家柄の人間が、子供を連れて現れて、私こそ許していただけるのか不安でした」
率直に言葉を発した私に、お父様はお母様と顔を見渡した。
「ご存知の通り悠人の母親と、真翔の母親は違う。会社の為だったり、自分の意思と反した結婚はどうなるか、私たちが身をもって知っているからこそ、息子たちには自分で相手を見つけ、きちんとした家庭を気づいてほしい。そう思ってきた。だから、今の真翔の幸せそうな表情を見て、感謝こそすれど咲綾さんを責めることなどするわけがない」