一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

一時間ほど飛行機に乗り、東京とは一変した空気に私は小さく息を吐いた。
真由はというと初めての飛行機に興奮した様子で、楽しそうに窓から外を見ていた。

「ここからはレンタカー借りてるから」
私が手配すると言ったが、いつのまにか真翔さんはすべての準備をしていたようで、私は荷物だけまとめてついてきてしまった。

すでにレンタカーは準備されていて、チャイルドシートに乗り込む。
「さあ行こうか」
「しゅぱつよー」
真由は初めてだろう、遠出の旅行に嬉しそうにしている。

久し振りに見る景色に私は窓の外を眺めた。
懐かしさと、少し窮屈な気持ちが入り混じり、複雑な気持ちになる。
ひたすら勉強をして、両親の期待に応えることだけを考えていた時代。

「ここは動物園?」
真翔さんの声にハッとして思考を戻す。
小さいころよく来た動物園だ。あの頃よりきれいになっているし、可愛らしい遊園地も見える。
「はい。小さき頃来ました」
まだ小さく楽しかった思い出がある数少ない場所かもしれない。
弟の手を引いて、キリンだサルだと見た記憶がよみがえる。
楽しい思い出もあったことを思い出して、少し笑みが零れた。
< 264 / 299 >

この作品をシェア

pagetop