一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「真由、小さいころママがいった動物園、明日にでも行ってみようか」
真翔さんの言葉に真由は嬉しそうに「いく!」と答える。
「たいしたものはないですよ?」
少し苦笑した私に、真翔さんは優しく言葉を発する。
「ママ行ったことがあるところ、真由も行ってみたいと思うよ」
そう言うと、真翔さんは真っすぐに前を見つめた。
こんな風に、家族でこうして思い出を回れるんなんて、少し前は考えてもみなかった。
生きて行くことだけで精一杯で、誰にも頼ることなく意地を張っていた自分が嘘みたいだ。
緊張もあるが、心にゆとりができたことで優しくなれる、そんな気がした。
それほど人口は多くないが、お盆の国道は少し混んでいてう通常なら1時間ほどの距離を、30分ほど余分に走ると実家が近いことがわかる。