一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
意味が解らなかった私だったが、真由は早くおりたいようで私を促す。
真翔さんが先に車を降りると、真由をチャイルドシートから降ろし私を見た。
「咲綾、降りて」
柔らかなその表情に私は、覚悟を決めると車を降りた。
どこにでもある普通の我が家の前に、真翔さんと真由がいることが信じられない。
そんな思いと、どうお父さんとお母さんに話をしよう。
そんなことが頭を廻り、私はなかなか玄関へと向かうことが出来なかった。
俯いていると、気配を感じて私は視線を上へと上げると、久しぶりに見るお父さんがいた。
すこしだけ歳をとった気もするが、相変わらず厳しそうな表情を私は視線を逸らした。
「こんにちは」
その空気を壊すように、言葉を発したのはもちろん真由で、お父さんも私の足元に視線を向けた。
門前払いを覚悟していた私は、何かを言わなければと言葉を探す。
「あの、この子が」
そこまで言ったところで、お父さんの低い声が聞こえた。
「入りなさい」
「え?」
驚いた私に、お父さんはもう一度同じ言葉を繰り返す。