一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

子どものころは窮屈でしかなかったが、思い出の中には確かに愛情があったと気づく。
自分が親になり、どれだけ子育てが大変で難しいことを知った。

そっと扉を開けて、机の上に唐揚げを置くと、真由が嬉しそうに声を上げる。

「お父さん、あの時は本当にごめんなさい。こんなみっともないことをしでかした私は許してもらえないかもしれないけど」
そこまで言ったところで、お父さんが口を開いた。

「みっともないとか言うんじゃない!」
「え? だって世間体が悪いって、未婚の母親なんて許さないっていったじゃない」
そう、確かにあの時勇気をだして電話をした私に、お父さんはそう言った。

「咲綾、お父さんの性格を考えなさい」
真由の子供用の食器を手に居間へと戻ってきたお母さんは、そう言いながら真由の前に置く。
「これ真由のおさら?」
屈託なく聞く真由に、私が小さい頃は教壇にたっているときのような表情が多かったお母さんが、満面の笑みを浮かべる。
< 270 / 299 >

この作品をシェア

pagetop