一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「勝手に電話番号も変えて住所も教えないとか、我が子ながらどうしてこんなに頑固で意地っ張りな子に育ったかと思ったわ」
小さくため息を付きつつ言ったお母さんに、真翔さんがクスリと笑った。
「確かにお嬢さんは頑固ですね」
今までのことを言っているのだろう。私としては努力をしていただけだが、そう言われてしまえば仕方がない。
少しムッとした表情をしたのだろう私に、真翔さんが柔らかな微笑みを浮かべる。
確かに、今までこんな風に会話をしたことがなかったことに気づき、家族はこうして言いたいことを言うべきだったのかもしれないと思う。
「お父さんに似たのよ」
そう言うと、お父さんが食べる手を止めて咳ばらいをした。
「おじいちゃん、おかぜ?」
真由の言葉にお父さんが、動きを止めた。
「大丈夫だよ」
優しく真由に笑顔を向けたお父さんに、なぜか涙が出そうになった。