一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「何度も連絡してくれたって」
真翔さんの方へと向き合うと、真翔さんのシャツをキュッと握った。
「最初はお父さんすごく怒ってた。うちの娘を何だと思ってるって」
思い出したように真翔さんは表情を歪めた。
「でも、それも咲綾を思ってのことだってわかった。だから大丈夫だって思ったよ」
真翔さんはそう言いながら、今度は私の髪を撫でててくれる。
その優しい手が嬉しくて、私は真翔さんに抱きついた。
「咲綾、幸せになろうな」
その言葉に真翔さんの腕の中から真翔さんを見上げると、そっと優しいキスが落とされる。
少し深くなったキスに、私はクスリと笑い声をあげた。
「ここじゃあ、これ以上ダメですよ」
そっと唇を離して言った私に、真翔さんは拗ねたように『わかってるよ』と私を抱きしめた。
結局ほとんどの夏季休暇を実家で過ごし、動物園も海もお父さんたちと行くことが出来た。
真由と楽しそうにする両親に、ようやく親孝行ができたような気がした。
「結婚式の日程をまた相談させてください」
帰る前、真翔さんが改まっていうと、お父さんは静かに頷いた。
「またいつでも来なさい」
お父さんのその言葉に幸せな気持ちで、私たちは東京へと戻った。