一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
真翔さんは答えることなく、私の手を引きエレベーターへと向かう。
「あれ? 高層階エレベータですよ」
レストランフロアへ向かうエレベーターではなく、ホテルのエレベータに向かう真翔さんに私は慌てて声を上げた。
ホテルのレストラン?
そんなことを予想していなかった私は、自分の服を見る。
「もしかして真翔さん、これって初めから……」
今朝、真翔さんが私の着る服を決めたことを思い出す。
いつも通りシンプルなスーツを着ようとしていた私に、珍しく自分がプレゼントしたワンピースを着て欲しい。
何気なく言われた言葉に、私は何も考えずにそのワンピースを着ていた。
薄いサーモンピンクのワンピースで、真翔さんがプレゼントしてくれただけあって、高級なものなのだろう。とても着心地がよく、すごく気に入っているワンピースだ。
「ごめん、計画通り。咲綾今週末誕生日だろ?」
「え?」
親になると自分の事は二の次になるのか、すっかり自分の誕生日など忘れていた。
この4年祝った事もなければ、むしろ思い出しすらしなかった。