一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「あの、本当に帰宅しても大丈夫ですか?」
もちろん帰らなければいけない私だったが、まだまだやるべき仕事はあるだろう専務に私は問いかける。
あと少しなら延長保育できる……。
そんなことを思った自分に驚きつつも、専務の返事を待つ。
「もちろん。それに慣れない仕事で疲れた顔してる。大丈夫?」
「ああ、はい」
まさか自分の心配をされると思っていいなかった私は、驚いて目を見開いた。
「まさかそんな顔されるとはな」
小さく息を吐くと、私から視線をそらす。
「今日まで思っていたけど、俺、何か君に不愉快なことでもした?」
「え……」
そんなに態度に出ていたのだろうか?
極力普通に接していたつもりだったのに……。
仕事では聞かない〝俺”という言葉と、いつもより低く響いた声にドクンと胸が音を立てる。