一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
何かを飲もうと冷蔵庫に手をかけたところで、スマホが音と立てる。
こんな遅い時間に誰?
四年前、全てを変えたくて携帯も新しくしている。
こんな時間にかけてくる人が思いつかない。
そんなことを思いながら、スマホのディスプレイをみて私は慌ててスマホを落としそうになる。
『もしもし?』
誤って通話ボタンをおしていたのだろう、なんとか手の中に納まったスマホから声が聞こえた。
「お疲れ様です」
小さく咳ばらいをした後出た自分の声が、自分ではないように聞こえた。
「こんな遅くにごめん。どうしてもデータが見つからなくて」
申し訳なさそうにしている専務の顔が見えるようで、私は少し笑ったのかもしれない。
「笑った?」
その言葉にハッとして私はすぐに見える訳もないのに、表情を硬くした。
「いえ」
「あっ、いつも通りに戻った」
何でそんなことわかるのよ?
残念そうな音を含んだ声に、私は心の中で小さくため息をつく。