一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「松永さん」
しかしそんな私の気持ちと裏腹に呼ばれた声に私は動きを止めた。
「はい」
上司に名前を呼ばれてはどうしようもない。
私はそのまま専務に背を向けたまま返事をすると、要件を待った。
「歓迎会もなかなかできなくて申し訳ない」
意外なセリフに私は、ゆっくりと専務をみた。
「そんなの……」
してもらおうとも思っていないし、してほしくもない。
「なかなか秘書課全体で行くのは難しい。この案件も今週で終わると思う。そうしたら食事でもどう?」
え?
食事に誘われた?
その言葉の意味が解らず、私は完全に混乱した。
「難しいかな?」
少し探るような視線に、私は動揺から視線をさまよわせた。
やっぱり今でもこうして誰構わず声を掛ける人なの?
いや、あの時は私から声を掛けたけど……。
そんなことはどうでもいい!
「仕事ではないのであれば……」
私はきっぱりと拒否の言葉を言おうとしたところで、専務室がノックと同時に開かれた。