一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「そうなんだ。何歳?」
この場に二人きりだったら、冷静ではない今なら何かを口走っていたかもしれない。
しかし、副社長は我が子と同じ性別とわかって嬉しかったのか、私達の会話に言葉を挟んだ。
それで私はハッとすると、張り付けた笑顔で副社長を見た。
「3歳です」
「亜里沙と同じだ。やっぱり来て。それでこの弟の誘いは断っていいから」
そこへノックが聞こえ、真壁さんの声が聞こえた。
「おっと。戻らないと」
その声に返事をすると、副社長は私たちを見た。
「じゃあ、真翔。12時からだから。亜里沙も楽しみにしてるんだ。頼んだよ」
ヒラヒラと手を振ると、すっといつもの冷静な表情の副社長に戻り専務室を後にした。
そんな副社長を唖然として見てい私は、後ろから聞こえた大きなため息に意識を戻した。
「松永さん、本当に申し訳ない。家族のことになると人が変わってね」
困り果てたように言った専務に、私は何と言っていいわからず黙り込んだ。
「家族でやればいいのに、兄貴はいまだに俺に気を遣うから……」
そこまで言葉にしてハッとしたのか、専務は言葉を止めた。
「ごめん、君にこんな話。どうかしてた」
初めて?いや、4年前に見た影を宿した瞳が一瞬見えた後、専務はすぐにいつもの柔らかい表情を見せた。