一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「真由、ごめんね。お迎えいけなくて」
泣きそうな顔で言った私に、真由は小さく首を振る。

「まなくん来てくれたから大丈夫なの」
「まなくん?」
驚いて繰り返すと、専務が罰の悪そうな顔をした。

「まなくんて、彼よ。私の娘がそう呼ぶものだから真由ちゃんもそう呼ぶようになったのね」
クスクスと笑いながらそういった女性は、ニコリと微笑んで私を見た。

「真翔くんの義理の姉の礼華です。真壁明日香の友達でもあるの。だから荷物もちゃんと明日香が持ってきてるから心配しないで」
とても豪華な個室の病室の窓際に置かれた私のバッグを、礼華さんは指さした。

「本当に申し訳ありません!ご迷惑をおかけしました」
起き上がりガバッと頭を下げると、またフワリト視界が歪む。

「こら」
そんな私を諫めるように、そっと専務の手が私の肩に触れる。
「急に起き上がるな。大丈夫だから」
いつも笑っている専務の真剣な表情に、私は言葉を止めてされるがままにまたベッドに横になった。

「礼華ちゃん悪いんだけど少し頼んでいい?」
専務がそう言うと、礼華さんは頷き真由に視線を向けた。

「真由ちゃん、あっちで亜里沙と遊ぼうか?」
「うん、あそぶー!」
嬉しそうに言うと、真由はあっさりと私に手をふり、礼華さんと出て行ってしまった。
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