一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
呆気にとられていると、専務が先ほどまで礼華さんが座っていた椅子へと腰を下ろした。

「専務にもご迷惑を……」
そこまで言ったところで、専務が逆に頭を下げた。
「ごめん。こんなになるまで無理をさせて。だから正規の秘書が無理だって言ってたのに。有能な君に頼りすぎた」

「やめてください!専務。違います」
辛そうに表情を歪める専務に、私は慌てて声を上げた。

「貧血と疲労だって」
「そうでしたか、すみません」
専務の視線をずっと感じていたが、なぜか私は専務をみることが出来ず天井を見つめていた。

「誰か親しい人に連絡をしようと思ったんだけど、わからなかったから」
そうだろう、夫などいないし、配偶者欄はもちろん真っ白だ。
言いにくそうにいった専務に、私は言葉を選ぶように発した。

「頼れる人がいないので助かりました」

「ご主人は……離婚したの?」
言いにくそうに言った専務に、「そんなものです」それだけを言うと私は話を変えた。

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