一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「いえ、本当に雑用だと思っていたので。私には荷が重いです、それに……」
「専務、本当に申し訳ありません。かなり優秀な人材だと聞いていたので問題ないかと……」
残業もあまりできませんし、そこまで言いたかったがそれは室長の声に消されてしまった。
顔を隠すように俯きながら言った私に、室長は焦ったように専務に頭を下げた。
一瞬専務室が静まり返える。
気まずい思いから私は言葉を探すが、もちろん見つからない。
その重たい沈黙を破ったのは専務だった。
「松永さんだったかな? どうしても無理だろうか? 急に今までの秘書が産休に入ってしまってね」
柔らかな物腰で、少し残念そうに言った専務の言葉にも私は言葉が出ない。
以前より柔らかく笑う顔は、完ぺきな理想の上司としてドラマにでも出てきそうだった。
だが、今の私にはそんなことは申し訳ないがどうでもいいし、一刻も早くここから去りたい。
そんな私の気持ちを知ってか、目の前の人はさらに言葉を続ける。