一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「そうじゃない?」
さっきの少し冷たく見えた表情ではなく、私の真意を探るような瞳にギュッと唇を噛むと俯いた。
「すみません。違うんです。こんなに甘えたらいけないと思って……」
今のこの人に、私は拒否する言葉を言うことはできなかった。
どうしようもないほどの許せない過去があるのは事実だが、あれから4年の月日が流れている。
今目の前にいるこの人が、そんなにひどい人だと思えなくなってきている。
そっと専務の顔を見ると、仕事のときより自然な優しい笑顔だった。
「その理由ならよかった。じゃあ急ごう。真由ちゃんも待ってる」
その言葉に私はハッとして言葉を発した。
「真由は? 真由は大丈夫でしたか?」
「とりあえず乗って」
その言葉に、私はもう断ることはせず大人しく助手席に収まった。
慣れた手つきでシフトレバーを操作すると、専務は車を発進させた。