一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

そして目の前に現れた光景に、私は呆然と立ち尽くした。

モデルルームを見たことがあるが、はるかにそれを上回る広さとおしゃれさ。温かい暖色系の木がふんだんに使われたリビングは、光が差し込んでいた。

そして大きな窓の外には、テラスがあり芝生の庭が見えた。
こんな都心にでありながら、木々や壁でプライバシーはきちんと守られ、隣の家などは見えなかった。

「すごいだろ?」
苦笑しながら専務言った言葉に、私は何度もコクコクと頷いた。


「咲綾ちゃん、もう大丈夫なの?」
リビングの横の立派なアイランドキッチンにいたのだろう、礼華さんが気づきこちらへと歩いてくる。

「あの、本当になんてお礼を申し上げていいか」
私は深々と頭を下げた。本来ならば手ぶらで来るべきではないが、病院をでてすぐにここへと来てしまった。


「そんなのいいのよ」
「いえ、また改めてお礼を……」
そんな私を礼華さんはジッと見た。

「本当に咲綾ちゃんは素敵な子よね。真由ちゃんもとってもいい子。ねえ、真翔くん」
なぜか礼華さんは専務へと話を振る。そんなことを聞かれてもきっと困るだろう。
「あの、真由は?」
耐え切れず声を発した私に、礼華さんは窓の外へと視線を向けた。

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