一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「悪阻がひどいうえに、流産の可能性もあるそうだ」
沈痛な面持ちで以前の秘書のことを心配する目の前の人に、私は苛立ちにも似た感情が広がる。

あなたが、遊んで捨てた女が目の前にいるのよ。

あなたの本当の中身なんて知ってるんだから。
あの時の悔しくて、悲しくて、辛くみじめな気持ちが私の心を黒く塗りつぶしていく。
二度と顔なんて見たくなかったのに。

「そうですか。しかしこれぐらいの大きな会社には秘書などいくらでもいますよね?」
なんとか気持ちを抑え込むと、自分でもわかるぐらい低い声になったのがわかった。

少し考えるような表情を見せた後、専務は室長に視線を向けた。

「そう言っているけど、雇用契約書はどうなってますか?」
「一応三カ月の使用期間を設けることで契約していますが……」

そういうと室長は専務にファイルを渡す。
それを確認した後、専務は抑揚なく静かに言葉を発した。
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