一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「真由!」
私がそう呼ぶと、真由がひょこと顔を上げた。
「ママ!」
そう言うと一目散に走って来る真由を、私はギュッと抱きしめる。
「いい子にしてた?」
真由の顔を覗き見ると、キラキラとした楽し気な瞳がそこにはあった。
「うん、亜里沙ちゃんと亜里沙ちゃんのパパとお城作ってたの」
「お城?」
「うん。見てみて」
そう言いながら、真由は私の手をぐいぐいと引っ張る。
「松永さん、体調どう?」
会社とは全く違う、柔らかな表情で、手には子供用のスコップを持った副社長に私は驚きつつも頭を下げた。
「本当にこの度は」
「いいっていいって。堅苦しいことは言わない」
またもや言葉をさえぎられたが、私はゆっくりと顔を上げた。
「ありがとうございます」
その言葉に、副社長も柔らかく微笑んでくれた。