一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「名前で呼んでいいって言われたのか?」
専務のその言葉に、副社長は少し表情を歪めた。
え?私は専務の言葉の意味が解らずキョトンとして専務をみた。
確かに、副社長はさっき私を名前で呼んだような気がする。
「今はプライベートだよ。会社なんて関係ないし、咲綾ちゃんはもう礼華の友人だよな?」
そう言いながら副社長は礼華さんを見た。
「ええ、もちろん。咲綾ちゃん、ママ友になってくれる? 亜里沙も喜ぶわ」
柔らかな笑みを浮かべた礼華さんに、私も嬉しくなって頷いた。
よくしてくれる人たちはいたが、シングルマザーとなり毎日が忙しく、地元も遠いため友人という友人がいない私にとって、心強くて心が温かくなる。
「それに、お前だって名前で呼べばいいだろ?」
副社長の言葉に専務は、諦めたように小さくため息を付いた。
そんなことを急に言われても困るだろう。
私はどう反応していいかわからず、オロオロしていると、亜里沙ちゃんが声を上げた。
「パーパ。ケーキまだぁ?」
「ああ、ごめん。ごめん。さあ、お姫様たちパーティの始まりだよ」
その言葉に、真由は嬉しそうに笑い声をあげた。