一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

4年前……。

その言葉が私に突き刺さる。
一番色々なことがあった時だとはわかった。
でも……。

「専務は社長になりたくて結婚とかは考えなかったんですか?」

自分でも突っ込んだ質問していることに驚いたが、今までのように二度と会わなければこんな気持ちにはならなかった子も知れないが、どうして? どうして?その思いが溢れそうだった。


「どうだろうな? あの頃の俺は何を考えていたのか……」

そこで言葉を止めると、専務はチラリと副社長たちに目を向けた。
「兄貴と俺は母親が違うんだ。そのことでお互い内心気も使ってきたし、昔はライバル心を燃やしたこともあった。正式な後継者は俺だって。そう思ってた時期ももちろんあった。だから、兄貴に結婚話が持ち上がった時、やっぱり兄貴なんだ。俺じゃない。そう思ったのは事実かな」

あの頃そんなことを思っていたのか……。
だからあんな暗い瞳をしていたのだろうか?
そんなことが頭を過る。
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