一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
それだけで、私の心は落ち着かない。専務の爽やかな香水の香りがフワリと香る。
真由がまた安心したように眠ったのを確認すると、一瞬私の指がキュッと握られたような気がしたが、すぐに専務は離れていった。
「気を付けて。おやすみ」
まだ車に乗ることはなく、その場で微笑む専務に私は何とも言えない気持ちで頭を下げる。
「……失礼します」
〝おやすみなさい”そう返すことはできず、私はキュッと唇を噛むと頭をあげそのまま専務を見ることなく、エレベーターホールへと足を踏み入れた。