一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

夢のような時間はもう終わり。
本来、私とは全く交わることのない世界の人たちだ。

私は小さな自分の家に戻ると、しあわせそうな表情で眠る真由をベッドへと寝かす。
枕元に置かれた、最近真由のお気に入りの絵本が目に入る。

「シンデレラ」

パラパラと絵本をめくると、シンデレラと王子様が幸せそうに笑っていた。

しかし、現実はそんなことは起こらない。
王子さまみたいに、探してくれることなどないし、身分違いの恋など成立などしない。

現実に戻り、小さなこの部屋で二人きりになると、今日の出来事は夢だったような気がしてくる。

真由のことを話したほうがいいのでは?そう思った自分の気持ちは瞬く間にしぼみ、専務の優しさも気遣いも、自分の都合で秘書にしてしまった罪滅ぼしだと気づく。

きっと専務はかわいそうな親子に同情をしてくれたのだろう。

そんなこともわからず、真由のことを話して、専務の困った顔や迷惑そうな言葉聞くことになるのは耐えられない。

そこまで思ったところで、私は考えることをやめた。

いつも通りの一人の時間に寂しさを感じた自分をごまかす様に、洗濯機を回しできていない家事を一心不乱にこなした。

これが現実なのだから。





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