一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
「はい」
かなり低い声が出てしまったことに気づいたが、私はそのまま黙って専務の言葉を待った。
『急ぎの仕事でわる……』
「いいから、早く指示ください!」
真由をしかるときのような口調になってしまい、ハッとするが、また私に謝罪をしようとする専務につい言葉が出た。
『ああ、じゃあ』
きっと受話器の向こう唖然としているかもしれない。こんな話し方をしたことなどないのだから。
一通り指示が終わり、一瞬沈黙が流れた。
「あんな言い方すみません」
少し冷静になり、私は小さく言葉を発した。
『いや』
静かに柔らかく響いた声に、私はホッとした。