一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
金曜の今日でこんなことを頼むのもどうかと思うが、このまま仕事を放り投げることなどできない。
『もしもし』
「もしもし、お忙しいところすみません。今大丈夫ですか?」
『大丈夫よ』
柔らかな優しい礼華さんの声が聞こえ、私は言葉を続けた。
「あの、金曜日のお礼もままならないのに、こんなことをご相談して本当に申し訳ないのですが……」
やはり、こんなことを頼むなんて。そう思って言葉を止めたところで、礼華さんの声が聞こえた。
『全然大丈夫よ。真由ちゃんのお迎えでしょ? ご飯も食べさせてお風呂にも入れておくわ』
「え? どうしてそれを」
何も言わないのに、礼華さんから言われ私は驚いて声を上げた。
『真翔君、きのう急遽中国に行ったって悠人さんから聞いていたし、なにかきっと大変な仕事なのかなって思っていたから。こちらこそそれぐらいしかできないけど、真翔君のフォローお願いね』
逆に申し訳なさそうに言われ、私は慌てて言葉を発した。
「いえ、もちろんです。礼華さんありがとうございます」
保育園には連絡しておくこと、場所はメッセージを送ることを伝え、私は礼華さんとの電話を切った。
本来、私は仕事が好きなことを久しぶりに思い出した。
時間を気にせず、がむしゃらに仕事をしながらそう思った。