セレナーデ ~智之
その頃から 智之は 心の穴を忘れたい時
麻有子との時間を 思い出すようになっていた。
軽井沢の風 木漏れ日 麻有子の笑顔。
あの 夏の輝きを 思い出す時だけ 心が満たされることに 気付いていく。
麻有子は どこで 何をしているのだろう。
今も 軽井沢にいるのだろうか。
大学生なのか。働いているのか。
案外 もう結婚していたりして。
いや もしかしたら すぐ近くにいるかもしれない。
そんなことを 取り留めなく考える時 心の穴が塞がる。