セレナーデ ~智之
帰り際 連絡先を交換する 智之と麻有子。
お互いの 上司がいるのに。
初めて感じた情熱が 智之を駆り立てて。
聞かずにはいられない。
名刺の裏に 綺麗な字で 携帯番号を書く麻有子。
優しい瞳で すこし恥ずかしそうに 智之に手渡す。
「今度 ゆっくり 食事でもしよう。」
自分から誘うなんて 初めてのこと。
多分 俺は今夜 麻有子に電話をする。
「はい。是非。」
と答える麻有子の、切ない目を見た時 智之は確信していた。