余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる
そこまで聞いたところで立ち上がった。
ドアをガチャンと開けて、少し先にいる3人のところへ歩いた。
「幽霊になれるなら本望だけど、
…残念ながらわたしは人間なの。
わたしは、多分普通じゃない。」
意味不明な心臓病で余命宣告を受けた。
両親は他界。
高校は行っていない。
…うん、普通じゃない。
「…なぁ、お前は何を抱えているんだ、?」
いいたくないのに蒼野が泣きそうに笑うから、思わず言ってしまいそうになった。
「透花、全部言ってよ…」
絢兎も、なぜか瞳を揺らして言うから。
だけど。
「別になにも」
「なんでそんなにお前の目は真っ暗なんだ…?
その容姿なら楽しく生きれるはずだ。
毎日ホテルに泊まれる金があるなら楽しく生きれるはずだ」
結局死ぬわたしが、楽しく生きてなんの意味があるの?
「なんで楽しさを捨てるんだ…っ?」
「…楽しく生きる意味がないから。
そして楽しく生きる方法がわからないから」
…そう、わからないんだよ。
わからないのにどうやって楽しく生きろって言うの。
「俺たちが、教えてやるよ。
…だから、楽しく生きようぜ…」
蒼野はそう言って手を差し出した。
また、踏み込んできた。
だけど、今はそれは嫌だとは感じなくて。
思わず、手を取った…。