愛は惜しみなく与う⑤
「おっと、気づきました?一度しか会ってないのに、さすがですね」

「……スコーピオン?」

「もちろん。あなたをこんなに追いかけ回すのは、スコーピオンだけでしょう」


敬語でにこりと笑った男

そうかそうか
今日はここにきて正解やったな

鈴のふりをしなくて済んだ



「何の用?」

「あなたに受け取ってほしい物がありまして」

「それにしては、捕まえようとしたり、おかしくない?渡すだけなら、こんなんせんでええやろ」


この男、変な空気を持っている。何であたしはあのときエレベーターで気づかへんかったんやろうか。

こんな不気味な目してるのに



「スコーピオンのこと知ってるでしょ?」

???


「俺たちは狂ってるんです」


そう言って男がポケットから出したものはスタンガン

ちょっと…こんな狭いところでやめて欲しい


流石にトイレに防犯カメラはないやろうし、思う存分できるけど

自分でこいつが言った通り、狂ってる


何か渡す物があるらしいけど、それだけじゃ、自分の気持ちが抑えられへんにゃろな
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