愛は惜しみなく与う⑤
ただこうやって
あたしが知らんだけで、田畑と鈴が関係あって…そら気づかへんわな

この事を思うと胃が痛くなる


知らない鈴が多すぎて

あたしはその知らない鈴の役割もできる気がせんから。
鈴がどこで何をしてたなんて

考えたこともなかった



「杏様?蘭様の見送り行きますよ?」

「あ、ごめん。いこか」

誰もいなくなった部屋


志木に声をかけられて我に帰る。脳内トリップ癖直さな、やばそう


「田畑のことですか?」

「うん…ちょっとな。考えると嫌な気持ちにしかならへんな」

「そうですね…嫌なことは何もしなくていいです」


そう言うけどさ?今後大事になってくるわけで。てゆうか、母上の付き人なら、今回も一緒に行くんかな

仕事できるんかな、あいつ


長い廊下を歩いてエレベーターで1階まで降りる。この広さ必要か?
こんなでかい家にするなら、まじで廊下に、動く床みたいなんつけて欲しかった。


移動が大変で心折れそう


「鈴ちゃん!忙しいのにごめんね、ドタバタさせちゃって」


用意を終えた母上が田畑と目の前に現れた
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