愛は惜しみなく与う⑤
田畑はチラリとこちらを見て、そして何も言わずに母上に視線を戻した

きも


「次会えるのは、鈴ちゃんのお誕生日かしら」

「楽しみにしております」


そうか、誕生日か

夏休みが明けたら案外すぐ訪れてしまう鈴の誕生日。
その前にあたしの誕生日もくるねんけどな?

まぁそんなん母上が把握してるわけもなく。

9/25の鈴の誕生日まで



あたしはそれまで、また好きな場所で杏で居れる

それだけでもうええわ



はやくこの苦しい場所から逃げたい



母上と田畑が外に出ていき、一気に家の中が静かになる。

他の使用人は、あたしに頭を下げてから、その場を去り、持ち場へ戻る



ようやくあたしも帰れるか?
そう思い志木を見ると、ハンコだけ押してから帰りましょう。そう言われた


そやな、それくらいやらんとな?

残りの書類は志木が手伝ってくれたこともあって、想像してたよりもはやく終わった。


でも2時間くらいハンコ押したしな!?



「えっぐぅぅ!一生分のハンコ押した」

「月1でこの作業ありますよ」


絶望やん
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