愛は惜しみなく与う⑤
我に帰ればここはトイレ。
人がくるかもしれへん

トイレには東堂の令嬢のあたしに、床で気絶してる男

こんなん見られたらやばい


と、とりあえず志木…電話をしようとしたら、トイレのドアが開き、そこから志木が現れた

そしてこの状況を見て少し目を見開いた後、パッパと掃除用具の扉を開き、中から清掃中の札を取り出して外に置いた

冷静やな


「あなたって人は…遅いと思って来てみれば」

「ごめん…助かった」

「はぁ…で、なんですか、この男は。覗きですか?」

殺しときます?物騒なことを言って男を見る志木



「マンションの男や」


あたしがそう一言いえば、すぐに察したのか、まさか…そう呟いて男の顔を見た


「一回見たし覚えてた」

「何をされました?」

「何も。鳩尾と顎殴っただけ」


よくそれで生きてますね。志木は男の持ち物をガサゴソ探る

男は身分がわかるようなものは持っていない


「用件は?」

「なんか、渡すものがあるって」


男から受け取った、サトルからあたしへ宛てた手紙
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