愛は惜しみなく与う⑤
東堂の家から出たりするには、鍵を開ける必要があったからな。

悪知恵はアホみたいに身についた


「こっち。鍵が壊れてる窓があるんだ」


泉に手を引かれて辿り着いたのは、校舎の中庭に面している窓

生徒に鍵壊れてるの知られてるの、あかんやん


あたしの胸くらいの高さの窓
スッと窓が開き、あたしは窓の淵に手をかけよじ登ろうとしたら、泉に止められる

なになに


「俺が先にいく」


別にええけど?なんでやろ。そう思って気づいた。


「あたしスカートやしか?」


ついつい笑ってしまった
今日は珍しくスカートを履いてる。あたしが先にいくとな?見えるもんな


「笑うところじゃない」

「笑うよ、泉、パンツに動揺するもんな」

「絶対よそで言うなよ」


その言い方やめろ。ピシャリと指摘されたが、面白いのは面白い

泉はヒョイと窓から入り、見上げるあたしに手を伸ばす


あたしはその手を掴んで窓から学校へ入った


「くっら」


廊下に着地したけど、最初の印象はそれ。
まじで暗い

電気がほとんどついてない
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