愛は惜しみなく与う⑤
「分かりやすいな」
前を歩く泉は立ち止まって振り返り、あたしの顔を覗き込んだ
「不安か?」
「…んーん」
「じゃあそんな顔するなよ」
ふわっと頭を抱えられて、抱きしめられた
あたしの顔は泉の胸あたりにくっつく。心臓の音が…少し早い
「どんな杏でも受け止める自信あるから。弱音でも愚痴でもなんでもいいんだ。杏の気持ちを聞かせてくれ」
このまま時が止まればいいのに。
そんなベタなことが脳裏をよぎる。
このままこの温もりの中で、何も考えずに身をまかせたい
「…怖くて」
「うん」
「2年も無い気がする。もう、タイムリミットが迫ってる気がする」
「……うん」
「あたしまだ…みんなと居たい。後継なんてなりたくない…うぅ」
口を開けば溢れてくる言葉
涙も共に溢れる
前まで思わへんかったのに。サトルを見つけ出して復讐するのが1番の目的やったのに。
今は手掛かりになりそうな如月冬馬に会うことさえ怖い
あたしが鈴として、進んでいく世界が怖い
何事もなかったかのように、普通にこのまま過ごしたいって思ってる
前を歩く泉は立ち止まって振り返り、あたしの顔を覗き込んだ
「不安か?」
「…んーん」
「じゃあそんな顔するなよ」
ふわっと頭を抱えられて、抱きしめられた
あたしの顔は泉の胸あたりにくっつく。心臓の音が…少し早い
「どんな杏でも受け止める自信あるから。弱音でも愚痴でもなんでもいいんだ。杏の気持ちを聞かせてくれ」
このまま時が止まればいいのに。
そんなベタなことが脳裏をよぎる。
このままこの温もりの中で、何も考えずに身をまかせたい
「…怖くて」
「うん」
「2年も無い気がする。もう、タイムリミットが迫ってる気がする」
「……うん」
「あたしまだ…みんなと居たい。後継なんてなりたくない…うぅ」
口を開けば溢れてくる言葉
涙も共に溢れる
前まで思わへんかったのに。サトルを見つけ出して復讐するのが1番の目的やったのに。
今は手掛かりになりそうな如月冬馬に会うことさえ怖い
あたしが鈴として、進んでいく世界が怖い
何事もなかったかのように、普通にこのまま過ごしたいって思ってる