愛は惜しみなく与う⑤
「あーそれだったな。あの後、俺は夜までずっとここで酒呑んでたんだけどさ。またそのアンタレスが来たんだよ。

閉店間際にさ。俺はあのねえちゃんが取り乱してたのを思い出して、チラチラその男を見てしまって。」


猫田さんはグイッと自分の飲み物を飲み干した


「あっちから話しかけてきたんだ。イチャモンつけられるって思ったらさ…なんて言ったと思う?」


「……」


何も答えずにいると猫田さんは私の言葉を待たずに言った



「どんな顔してた?」

「はい?」



「そう第一声で言われたんだよ。どんな顔してた?って。俺もあんたと同じように、は?ってなった」


そういうことか
分かりましたよ。サトルがしそうなことですね


どんな顔してた




杏様の反応を知りたかったのか。
杏様がサトルがここに居たかもしれないと分かった時の反応を…

ただそれだけを知りたかったんですね
< 164 / 417 >

この作品をシェア

pagetop