愛は惜しみなく与う⑤
私も杏様程ではありませんが、肝は座ってる方だと思ってます。
冷静が私の売りですからね。
ですが、雄作さんに詰められたときは、死ぬかと思いました。
冗談ではありませんよ?
本当に、あぁ、殺されるかもって思いました。
一応覚悟はしてましたが、3日間は外に出れませんでした。
思いっきり殴られたんでね
でもそれほどまでに、杏様のことを思ってくれている方なんです
杏様は生きていると。
東堂のために、何千何万という、東堂グループで働く人達のために…この国の経済のために…
鈴のフリをして、母親の精神安定剤になったことを
伝えたときの、雄作さんの顔は、絶望。その言葉がぴったりでした
『歯くいしばれ』
それだけ言われて殴り飛ばされて、なかなかの時間気絶しました。
本当にもう、久しぶりの恐怖でしたね
でも心が軽くなったんです
私は馬鹿なんで、杏様と落ちていくことしかできなかった。一緒にいてあげる事しかできないと思ってました。
1番近くにいたからこそ
杏様のことだけを考えて行動するべきだったのに