愛は惜しみなく与う⑤

情報を引き出すまでは。我慢。
言い聞かせないと、本当に手にかけてしまう


「あんたは勘がいいから気付いてるんだろ？」

「何をです？」



「鈴さんの事だよ。分かってんだろ？」


聞きたかったような聞きたくなかったような。
確信を得た情報がずっと欲しかった。
私の憶測ではなく、私の推理ではなく


本当に証拠のある事実が欲しかった


けどやっぱり、真実は、あまりにも残酷で、杏様が知ってしまえば、それこそまた…壊れてしまう


『鈴さんは生きてるよ』


男は鈴のことを、鈴さんと呼んだ。それも違和感だったんです。
分かってましたよ

寝ずに調べましたから。
雄作さんにも手伝ってもらいましたから。

分かってはいたけど



簡単に受け入れれるほど、物分かりもよくありません

けど、はっきりとこいつは言った


鈴は生きてると


どれだけ頭の中でシミュレーションしても、杏様に伝える術は見つからない


そしてこれではっきりした

一回壊れた杏様を、さらに壊す
そのためには何をしたらいいのか