愛は惜しみなく与う⑤
『杏は…今どこで何してる』

「…関東の方へ引っ越して、高校へ通っています」

『あのガキの事は興味がなさすぎて調べてなかった。留学行ってることになってるのか』


雄作さんは鈴とは殆ど面識はありません。
むしろ、蘭様は鈴が東堂組と関わることを嫌がっていましたので。

そして幼い頃の杏様のことを知った雄作さんは、もちろん蘭様や鈴の事を良くは思っていなかった。


『じゃあ、行方不明なのは、妹か?』

「はい、本当はそうです。杏様は鈴が死んだと思っています。自分のせいで」

『死んだと思ってる?その言い方はなんだ』


私の憶測なんです。
情報もこれ以上でてこなくて、手詰まりで…なのにどんどん期限は迫ってくる。

私の憶測に、味方が欲しい。


1人では進めきれない



「私は、鈴が生きていると思います」


そういうと、ギロリと雄作さんに睨まれる。そらそうですよ。今更何言ってんだってなりますよね。
でも聞いてもらわなきゃいけません


「鈴が生きていれば、杏様を…この東堂から救えるかもしれないんです」


このときは


確信もなかったんで、私の希望もはいってましたね。
< 170 / 417 >

この作品をシェア

pagetop