愛は惜しみなく与う⑤
きっと泉は、響と出会ってからずっと、面倒見るつもりやったんやろな。
すごいよな。ほんまに

「何ゆうてんの。泉がいたから、響はこうやって前向いてんにゃろ」


泉がそんなこと言うとは思わへんからびっくりした。
でもほんまにそうやで。

泉はみんなを引っ張って、前向きにさせてくれるよな


「俺はずっと一緒だぞ?お兄ちゃん」


ふざけたテンションで朔が言うと、机の下で泉は朔の足を踏んだ


ふふ。

大丈夫。
まだみんなには、泉が必要やから。
離れることなんてないよ。


「志木さんは夜空いてるの?」


慧はご馳走様と手を合わせて聞いてきた。志木か。ほんまにな


「何してんにゃろな。ここ3日ほど見てないなぁ」


ちょっと私用でしばらく戻らないと言われた。私用ね……


「呼んだらくるかも?わからへん」

「連絡してみますか?」

「うん、お願い」


新に任せよう。なんか自分から連絡する気にならへん。
私用って、そんな事あるかい。
志木があたしに言わへん理由はただ一つ。

あたしに言えへんだけ。
きっと何か裏でしてるんや


やからこそ、聞けない
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