愛は惜しみなく与う⑤
昔話と知らない事
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「鈴ちゃん、どこに行ってたの?」
「ごめんなさい。御手洗いに行ったときに、少し不審な人を見かけまして…」
「大丈夫なの!?!?」
あたしの肩に触れて心配そうな顔をする母上。力が弱々しいな…
「大丈夫です。志木をすぐ呼びましたので」
「本当に…鈴ちゃんは、志木が好きね」
よかったわ。母上は笑った。
違うよ
志木はあたしの執事や
志木はあたしの…鈴じゃなくて、あたしの執事やで
これだけは…譲れへんかったんや
いくら大事な妹の願いでも
……
「お姉ちゃん、なんでお姉ちゃんには、専属の執事がいるの?」
「専属ではございません。ただ私が杏様に尽くしたいだけです」
「尽くす?じゃあ私は…?志木は私には尽くしてくれないの?」
「……私には杏様しかいないんですよ。東堂にはお世話になっておりますが、私の主人は杏様だけ」
あたしは志木と鈴が話してるのを部屋の外でよく聞いた。
小さい時に全てを諦めた
親に愛されない
家に愛されない
誰もあたしに期待もしてない
「鈴ちゃん、どこに行ってたの?」
「ごめんなさい。御手洗いに行ったときに、少し不審な人を見かけまして…」
「大丈夫なの!?!?」
あたしの肩に触れて心配そうな顔をする母上。力が弱々しいな…
「大丈夫です。志木をすぐ呼びましたので」
「本当に…鈴ちゃんは、志木が好きね」
よかったわ。母上は笑った。
違うよ
志木はあたしの執事や
志木はあたしの…鈴じゃなくて、あたしの執事やで
これだけは…譲れへんかったんや
いくら大事な妹の願いでも
……
「お姉ちゃん、なんでお姉ちゃんには、専属の執事がいるの?」
「専属ではございません。ただ私が杏様に尽くしたいだけです」
「尽くす?じゃあ私は…?志木は私には尽くしてくれないの?」
「……私には杏様しかいないんですよ。東堂にはお世話になっておりますが、私の主人は杏様だけ」
あたしは志木と鈴が話してるのを部屋の外でよく聞いた。
小さい時に全てを諦めた
親に愛されない
家に愛されない
誰もあたしに期待もしてない