愛は惜しみなく与う⑤
「ごめん、起こしちゃった?」

「んーん?なんか寝付けへんかってん。朔にも蹴られたし」

「ふふ。そうだね。朔寝相悪いもんね」

「志木も寝相悪いで」

「え?嘘。真っ直ぐ固まったまま動かなさそうなのに」


誰もがそう思うよな。
慧の言う通り、静かーにピクリとも動かず寝てそうやけど、実際はひどいもんや


「寝てるとき、あたしの顔の上に足乗せたりしよるからな。クビにしてやろうか思ってたわ」

あたしがそう言うとクスクス笑う慧

ほんで…


「悩み事かい?お兄さん」


このまま流してもよかってんけど。ちょっと心配でさ


「どうしたん。困り顔してんで?」


慧に近づき顔を覗き込む。
相変わらず綺麗な整った顔やけど、少し違和感あるよな


「あたしの目は誤魔化せません!」


思いっきり顔を近づけると、少し間を開けてから、慧は降参だと笑って手を上げた。


時刻は夕方
皆んなお昼寝してから2時間経ってる
よく寝るよ、ほんとに

その中で起きていた慧は、あたしを手招きして外へ連れて行った
< 191 / 417 >

この作品をシェア

pagetop