愛は惜しみなく与う⑤
拗ねたような志木の声が聞こえて、あたしは、腹を抱えて爆笑した

ケタケタ笑うあたしから、泉が携帯を奪い取る


「志木さん、すみません。黒蛇との抗争が始まってしまって……ちょっと忘れてました」


あ、そこ素直に忘れてたって言うんや
それにまた笑けてくる


運転中やから泉はスピーカーにして、携帯を膝の上に乗せた


『隣で馬鹿笑いしてる御主人様に代わって頂けますか?』


ピキピキと音が鳴るくらい、志木の血管がピクピクなってるのが想像できる

おもろ


「ごめんやん、終わったらすぐ帰るし」

『私も行きます』

「志木はお留守番!むしろ新の代わりに情報探っといてよ。新も喧嘩に集中したいやろうし」

『家で一人でやれと言うのですか?』

「やれ言うてへん。やってほしいな?って頼んでるねん」

『あなたって人は!喜ぶ顔がみたくて、人が特注で打ち上げ花火を発注して用意していたって言うのに!』


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