愛は惜しみなく与う⑤
そしてここに残されたのは女1人


着地してピクリとも動かない


それを見て、驚いていたメンバー達も、今だとバッドを振り上げた


加減しないと…
危ない。そう思ってしまった。しゃがんだまま地面を見る女

なんの抵抗もしてない。そこに、バッドが振り下ろされる


目を逸らしそうになった

まだ慣れていない、人がバッドで殴られるところ。
そしてそれが女の子だなんて

そう思ったけど



敵の俺らが心配するのはそこじゃなかった


振り下ろされたバッドを片手で受け止めて女は笑った


『女の子の用意ができるまで、男は黙って待つもんやで』


女の声はよく通る声で、全員が聞こえたんじゃないかってほど。

振り下ろされたバッドを引き、メンバーから奪い取り、バッドをくるくると器用に回した



『さ、どっからでもかかってきぃ』


余裕そうに笑って見せる女
俺は足が動かなかった

一斉に周りが動き女に飛びかかるが、まるで周りに結界でもあるのか?って思うほど、当たらず、返り討ちにあう


一本バッドを奪って、それで全員を相手にする


「岩見さんの方に行け!」
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