愛は惜しみなく与う⑤
イヤホンからは何も聞こえなくなった


「泉!ちょっと、人増えてきたんだけど」


慧が苦笑いしながらこちらへ来て、男の拳をかわしながら話しかけてくる

言われてみれば人が増えた


とりあえず岩見は置いておいて、ここを片付けるか



「おーーーい!お待たせ」


そこにタイミングよく響と拓也がみんなを連れて走ってきた。

怪我はしてないな


響がここにいると言うことは、杏や朔はもう合流しているはず。

ちゃんと無事だな

正直杏のことは、できれば側で守りたいし、片時も離れていたくはないんだけど。
杏はそれを望まない

烈火の一員として杏を見るなら、俺ほどまでに動いてその場で判断できるのは杏だけだ

だから杏を信頼している


俺は俺のできることをするために


「無事か?」

杏の状況を確認する


『余裕!もう殆ど片付いたしそっち行こうと思うねんけどさ』


早いな。杏がこっちきたら、岩見の交渉にのりそうだな…どうするかな。
慧の女は助けてやりたいけど、それが正しいのかもわからないな
< 232 / 417 >

この作品をシェア

pagetop