愛は惜しみなく与う⑤
「俺はお前のことも、相当甘やかしてるよ」

『ま、杏の気が済むまで付き合えばいいんだろ?終わったらいくわ』

「頼んだ。何かあったらすぐ電話してくれ。最後に杏にかわって」

はいよ
朔の声がしたあとすぐに杏の声がした


『朔ついてくんの?』

「うん、そうして。雑魚処理に朔使えるから」

『ふふ。わかった!ありがとう。すぐそっち行くし』


さてどうするかな

杏が気になると言ったコンテナに何があるか。杏の洞察力は凄いから、何かあるのは間違いない


「慧、大丈夫!?」


響の声がし振り返れば、地面に倒れ込む慧がいた

その様子を見て、その顔を見て


「やる気ねぇなら、帰れよ」


心配とは別の言葉をかけた

倒れ込んだまま慧は黙った

やられるような奴じゃない。黒蛇相手に…


「お前がそんなんじゃ、下のやつらどうすんだよ。みんな本気でやってんだ。不安にさすな。自分の立場考えろ」


総長や幹部の焦りは、下の奴らに伝わる

そしてその小さな不安や焦りは、大きな不安要素になる

わかるよ


女が心配なのはわかる。
不安で喧嘩なんてやってる場合じゃないって思うのもわかる
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