愛は惜しみなく与う⑤
響から電話を受け取り朔の話を聞けば。
『コンテナの上の方に小さい窓があったんだけどさ!杏がそこから入るって』

「どうやって入るんだよ」

結構な高さあっただろ?


『あいつ俺のこと踏み台にして、窓の淵に手をかけてさ、窓割って中に入ったんだよ。どうやって止めるんだよ、俺、踏まれてたんだぞ!?!』


……ちょっと笑いそうになったけど。
躊躇いなく朔のこと踏み台にしてる杏が浮かんだ


「で?なんで中に入った?」

『知らねーよ!肩車しろって言われて仕方なくしたら、届かないから、そこに踏ん張って台になれって言われて…踏まれてただけだぞ?』


「お前が踏まれてただけなのは、分かったから。こっち片付いたから戻る。岩見はここに居ない」


『コンテナに女が居るかも。杏がそんな気がするって言ってた』


そこに女が居るのはもう分かったけど。
杏が中に入ったことで何か変わるのか。まぁいい。岩見をやるだけだ

そして耳元のイヤホンから声が聞こえた


『ちょっと蕪木先輩のところのお姫様、想像以上にお転婆ですね。
予定は狂ったがコンテナ前でやり合いましょう』


…杏がコンテナに入るのは想定外だったみたいだな。


「入り口戻るぞ。まだやろうとしてくる奴がいたら、そいつらだけ潰していけ」


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