愛は惜しみなく与う⑤
下でわーわー言うてる朔

「泉に電話しといて!岩見がとこか知らんけど」

換気用に少し開いている窓

脚で蹴ると窓が外れる


結構な高さ。飛び降りて怪我せんとも限らへんけど。なんとかなるか

そして中を覗いてみると、下からあたしを、見上げる女の人がいた


良かった。やっぱりおったんや



「ちょ、なんか、ふかふかしたもの無いですかね…」


あたしがそう言うと固まってた女の人は、ハッとして辺りをキョロキョロ見渡して、あたしの真下に何か持ってきた


マット?と毛布のようなもの


てゆうか、この中、冷蔵なんかな。冷気がくる

こりゃ…早よせなあかん


よいしょっと

衝撃を吸収してくれることを祈る



「さっむ」


無事着地したその場所は、思った通り冷蔵コンテナなのか、寒すぎる

急に飛び降りてきたあたしを少し警戒する女の人は、震えていた



「あ、驚かせてごめんなさい。あたし烈火のメンバーです!桜さん?でよかった?」


そらそうや。急に女が上から落ちてきたら困るよな。うん
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