愛は惜しみなく与う⑤
「…あなたは、烈火なの?」

声が聞けた
弱々しい声


「もう大丈夫。一緒にここ出ましょ」


あたしがそう言うと泣き出してしまった

そっと身体に触れる
冷え切ってるな。どれくらいここに居たんやろう。毛布みたいなんあるけど、そんなんじゃ耐えれへんよな


「不安で不安で…」

「うん、そうやんな。慧も外で頑張ってるから。あなたの事はあたしが守るな」

「け、慧くん来てくれてるの?」


恋する女の子の顔
慧の名前を言ったら目に力が宿った

すごいな。恋って


「うん、やから早く逃げよう。遅くなってごめんなさい」


桜さんに毛布をかける


外側からあけれへんかったから、内側からなら開けれるはず

はずやねんけど…


ピッキングするための針金も何もない。
喧嘩中に落としたか?ポケットに入れてたはずやねんけど。

携帯のケースに入れた予備もない


どこで使ったっけ…


「ご、ごめんなさい。なんか細いもん無いかな?落ちてへん?」


何もないコンテナの中で、何か落ちてないかと探すが見当たらない

これじゃあ、あたし捕まりに来ただけやん!人質に自らなっただけ!?!?

めちゃ足手まといやん!!
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