愛は惜しみなく与う⑤
さーーっと血の気が引く


「細いもの?どうして必要なんですか?」

「え?あぁ、鍵開けようと思って…」

助けに来たんか捕まりに来たんかどっちやねん言われそうやな。こりゃやらかした

携帯も繋がらへんし…

うぅ…


「ちょっと、作戦練り直すんで、それまで少し話しませんか?」


練り直すほど作戦も何もないけど、あたしがアタフタしてたら、桜さんもっと不安になるもんな。


震える桜さん
ずっと1人やったんやもんな。こわいよな

桜さんの隣に座る


「名前を…聞いてもいいかな」

「あ、そうやんな。杏って言います!桜さんのことは慧から聞いてて」

「あなたが…杏ちゃんなんだね」

「え?」

「慧くんが、たまに話してくれたの。あなたの事。慧くんが言う通りの子だね」


そう言って初めて笑ってくれた


「今回…巻き込んでしまったけど、慧を責めんといてあげてほしい」


あたしが言う事じゃないんやろうけどさ。怖い思いをさせたのもわかるけど。
でもそれで慧を嫌いにならないでほしい


「大丈夫だよ。慧くんは…守ってくれてたから。責めないよ…怖いけど。来てくれるって思ってたから」

そうか。
心配する事なかったな。この人はずっと前から慧を信頼してるんやな
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