愛は惜しみなく与う⑤
慧…


「これ使ってください」


桜さんは自分の髪を触り、あたしに可愛い髪飾りのついたヘアピンを渡してきた


「慧くんが…くれたんです。気まぐれって言ってましたけどね。去年の誕生日にあたしによく似合うって…くれた」


そんな大事なやつ使われへん
そう思ったけど
桜さんは覚悟を決めてあたしに渡したのを、顔を見てわかった


「慧に新しいの買ってもらいましょ!ちょっと…使わせてもらいます」


申し訳ないけど、ヘアピンについた綺麗な飾りを取る
そしてヘアピンを真っ直ぐにする

そんな事をしているあたしを見て、桜さんは少し驚いていた


「力…強いんだね」

「え?あはは。慧から聞いてない?」

「慧くんから?いや、聞いてないけど」


そうか。普通の女の子やと思われてるんかな


「烈火に入ってるんやで?あたし、強いから。心配せんといて」


ヘアピンを完全に真っ直ぐ伸ばせた
馬鹿力は、役に立つわ


入り口の鍵穴をみる
桜さんが携帯で照らしてくれる

これか…


少し時間かかりそうやけど開けれる
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